

MEMBERS VOICE
VOL.08
シュレーディンガー株式会社
瀬下 秀則
HIDENORI SESHIMO
こんな会社です
35年以上にわたり分子シミュレーションの分野において業界を牽引するグローバルトップ企業。
物理化学計算と最先端のAI技術を融合させた独自のアプローチを展開。35年以上磨き続けてきた高精度の分子シミュレーション技術により新薬の創出を加速し、日本の創薬力の底上げと「計算化学の民主化」を目指す。
ここがユニーク!
- 物理学ベースの計算とAIを融合し、高精度と高速度を両立する独自のアプローチ
- 高速、高精度な計算化学によるドラッグデザイン、大規模in silicoスクリーニングが可能
- 創薬チーム全体でAIモデル、物理ベースの計算、実験データへアクセスが可能となる統合インフォマティクス・プラットフォーム「LiveDesign」を提供
- 専門知識がなくても高精度な計算が実行できるAIエージェント「Bunsen」を開発
- 日本のアカデミア向けにSchrödingerのソフトを活用した日本語版教育プログラムの提供も開始
「計算化学×AI」の融合で創薬プロセスの変革を支援
はじめにシュレーディンガー社の魅力・強みを教えていただけますか?
当社の計算化学ソフトウェアは、高い予測精度と高速性から、多くの製薬企業様にご活用いただております。当社の強みは物理学に基づく計算化学と、AIを融合させた「計算化学×AI」という独自のアプローチです。一般的なAIは学習に膨大なデータを必要とするため、データのない未知の領域が課題となります。しかし当社は物理学の計算によって、タンパク質などの標的分子とリガンドの結合をゼロから高精度に予測・計算できることから、この物理計算によって生み出したデータをAIに学習させることで、標的タンパク質に結合する薬剤を効率良く探索し、その特性を最適化することが可能です。実際に、当社のアプローチで80億以上の化合物からわずか10ヶ月で開発候補品を創出するなど、より効率的な薬剤候補のデザインを実現しています。
基盤である計算技術を活かして、具体的にどのようなビジネスを展開されているのでしょうか。
私たちは、お客様の社内体制や研究フェーズに合わせ最適な形で貢献できるよう、3つのビジネスを展開しています。1つ目は計算ツールのライセンスを提供しサポートする「ソフトウェアビジネス」。2つ目は、お客様から依頼を受け、当社のサイエンティストが計算して結果をお渡しする「受託モデリングサービス」。3つ目は、自社の計算ツールを使ってターゲット選定から臨床候補まで自分たちで薬を創る「自社創薬プログラム」です。このプログラムでは、当社の計算プラットフォームを活用して開発候補品を創出するとともに、候補品の共同開発パートナーの探索も進めています。
計算化学の民主化と新たな創薬サイクル「DPMTA」
シュレーディンガーの日本法人として、今後どのような世界を目指していますか。
科学の進歩により様々なデータを分析できるようになった一方で、新薬開発のハードルは上がり、開発期間の長期化やコストの高騰が社会問題となっています。日本は「ドラッグラグ/ドラッグロス」が課題とされるなか、いかに開発期間を短縮し、コストを下げていくかが重要です。生成AIの登場により創薬のあり方が劇的に変わりつつあるいま、私たちは「創薬の変革を支える」という使命感を一層強めています。現在は、標的タンパク質の構造を精度良く予測できる時代です。だからこそ、その標的に結合する薬剤のデザインにおいて、私たちの分子シミュレーションツールをもっと日本の研究者に活用していただきたい。それが、日本発の革新的な新薬の創出へとつながれば、これほど嬉しいことはありません。
そのために具体的に取り組まれていることについて、教えてください。
従来の計算化学は非常に専門的な領域でしたが、私たちが目指しているのは「計算化学の民主化」です。普段、実験室にいる研究者たちにも当社のツールを使ってほしいという想いから、複数部門のデータ共有を可能とするプラットフォーム「LiveDesign]、専門知識がなくても高精度な計算を実行できるAIエージェント「Bunsen」を開発しました。従来の「DMTA(設計・合成・実験・解析)」サイクルから、予測(Prediction)を加えた「DPMTA」という新しいサイクルへの変革を推奨しています。実験化学者には、ぜひ分子シミュレーションの予測を取り入れ、合成すべき候補化合物を絞り込み、時間とコストの削減していただきたいと考えています。また、LiveDesignは、当社の最先端計算化学ツールと連携し、候補化合物の最適化におけるコラボレーションを促します。イーライリリー社の最新AI創薬プラットフォーム「TuneLab」とも提携し、このAIモデルの活用も含め、候補化合物を様々な観点から評価できます。
オープンイノベーションで広げる計算化学の可能性
今回、湘南アイパークへ入会された目的と、今後のメンバーシップへの期待を教えてください。
湘南アイパークは、大手製薬企業様、バイオベンチャー企業様や大学初の様々なアイデアが集まる国内最大級のオープンイノベーションの場です。新薬を生み出す製薬企業様やバイオベンチャー企業様の研究をお手伝いしたいという強い想いがあり、皆様との交流機会をとても楽しみにしていました。実際に入会してみて、「新しいものを生み出そう」という会員や運営の皆様の圧倒的な「熱量」に魅力を感じており、非常に楽しく、そして大きな夢を持ちながら参加させていただいています。
湘南アイパークを活用して実現したいことを教えてください。
「AI創薬セミナー」をはじめとする各種セミナーやワークショップによる情報提供、アカデミア向けの教育プログラムの展開などを積極的に行っていく予定です。湘南アイパークという最高の座組みの中で、同じ目的意識と信頼関係を持ったパートナーと出会い、共に日本の創薬力の底上げに貢献できればと考えています。
シュレーディンガー社の分子シミュレーション技術を考えたとき、日本の創薬現場に対して私たちができることはまだまだたくさんあると考えています。私たちが目指しているのは、「計算化学の民主化」。当社の計算プラットフォームを多くの皆様にご活用いただいて、アイパークの皆様のイノベーションの創出に少しでも貢献できれば嬉しいです。
PROFILE
シュレーディンガー株式会社バイスプレジデント、日本営業マーケティング統括責任者 瀬下秀則氏

大和市出身。京都大学大学院 修士・博士課程修了(工学修士 合成・生物化学)。1997年にエーザイの研究者としてキャリアを開始。25年以上にわたりライフサイエンス業界をリードし、バイオクリニカ等の日本法人代表取締役、コニカミノルタ プレシジョンメディシンジャパンやサイネオス・ヘルスのバイスプレジデントを歴任。グローバル企業の国内事業拡大やヘルスケア・テクノロジー領域で豊富な実績を築く。2026年4月よりシュレーディンガーのバイスプレジデント、セールス アンド マーケティング、ジャパンに就任。科学的知見とビジネス推進力で日本における画期的な創薬の支援を担う。
